詐欺・恐喝被害に遭った体験談

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一般の方からの刑事事件に関する投稿です。

 

 

以前、広告代理店に勤めていたときの話しです。

あるお菓子店を紹介され、営業で伺うようになりました。当然、こちらとしては広告の出稿をお願いしたいからです。

あるとき、こちらからの提案で数社が共同で広告を掲載する企画を提案しました。提案すると、その会社の社長はOK。心の中で「やった!」と小さく叫びました。

出稿が決まり、打ち合わせが始まりました。撮影や、デザイン、コピーの打ち合わせと順次進んでいきました。

ある日、ラフデザインができあがり、会社を訪問しました。社長との約束を取り、何時から打ち合わせということも決まっていました。訪問すると、「外出しています」との受付の返答。おかしいなと思いながら、その日は会社に戻りました。

街中を運転していると、その会社の配送の車を見かけました。すると、社長の娘がタバコをくわえ、運転をしていました。その姿はヤンキーそのもの。

会社の雰囲気とだいぶ違うなと印象を持ちました。

数日後、社長に連絡し、再度訪問を約束しました。すると、また不在。理由は急に用件ができたとのこと。校正の期限も迫り、こちらも焦っていましたが、初取引でもあるため、強く言えず、そのままずるずると経過しました。

校正締め切り日、どうしても確認が取れないため、社長に連絡し「特に直しがなければ、このまま進めますが」と断りを入れました。すると「いいよ」という回答。

無事校了となり、印刷も終了。納品物を早速、社長に届けました。社長は不在だったため、受付の女性に渡しました。

数時間後、社長から「何だこれは。こんなのお願いした覚えは無い」との電話。こちらも、何がなんだか分からなく言葉がでませんでした。すると、折り畳むように「こんなの出されたんじゃ名誉毀損だ。すぐに取り辞めろ。そして、賠償金を払え」との言葉。

こちらも青ざめ、すぐに知人に連絡。そのあとはいろいろありましたが、知人に間を取り持ってもらい、示談金程度のお詫びで事なきをえました。

ところが、あとで判明したことは、その社長、それが手口だと言うこと。打ち合わせでは決して合わず、出来上がった後にクレーム。おまけに賠償金の請求など。有名な人物でした。

当然、そのお菓子店は潰れましたが、あのとき見かけた娘のくわえタバコも、それを表していたんだということに納得しました。

このような詐欺は初めての経験でした。

 

<弁護士コメント>

詐欺罪における欺罔行為とは、取引の相手方が真実を知っていれば財産的処分行為を行わないような重要な事実を偽ることです。この欺罔行為により相手方が錯誤に陥り、財産的処分行為を行った場合に詐欺罪が成立します。

本件では、社長が、真実は、広告を発注する意思がないのにあるかのように見せかけて、広告を作成させ納品させているため詐欺罪にあたるでしょう。広告費相当額が損害ということになります。

本件ではそれに加え、示談金まで支払っています。これは、示談金の請求の仕方によっては、詐欺というより恐喝に近いような気がします。

本来であれば、示談金を支払う必要がないだけでなく、広告費相当額を請求できるということになります。

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弁護士宮本大祐コラム

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