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覚せい剤を使うと、一時的に元気になる、ということは前回のコラムでお話しました。
そのような効果を期待して、覚せい剤が医薬品として使用されることがあります。例えば、覚せい剤の原料が風邪薬の中に入っていたりもします。
そこで、被告人の中には、直前に風邪薬を飲んだ、などと主張して罪を免れようとする者もいます。覚せい剤の使用で有罪とされるケースのほとんどで、尿中から検出された覚せい剤成分が有力な証拠として提出されているため、違法な成分を風邪薬のせいにしようというわけです。
しかし、尿中の覚せい剤成分が薬物鑑定で覚せい剤と混同されることは、まずありません。
もっとも、中日ドラゴンズのクラーク選手が、アメリカから持ち込んだ持病の治療薬に覚せい剤の成分が入っていたということで書類送検されたという例があるように、個人輸入や海外で入手したような医薬品を使用したことで、尿中から覚せい剤が検出されてしまう可能性はあるでしょう。
弁護人としては、そのような可能性を視野に入れつつ、被告人に言葉に耳を傾ける必要があると思います。
他方で、風邪薬がダメならキムチでどうだ、ということで、キムチをたくさん食べたから覚せい剤が検出された、と主張する者もいるようですが、どんなに大量にキムチを食べたとしても、覚せい剤が検出されることはありません。
また、自分は使用していないが、覚せい剤乱用者の尿や精液を飲んでしまったため検出さ れたのだ、と主張した例があるようです。覚せい剤を使用しているSM嬢の尿を飲んだなどと主張したようですが、検出された尿中覚せい剤の量にもよりますが、尿を飲んだだけで、有罪にできるだけの覚せい剤が検出されることはまずありません。
このように、様々な言い訳をして罪を免れようとする者が後を絶ちませんが、弁護人としては、被告人の言い分に真摯に耳を傾けつつ、科学的な根拠を説明して被告人の改心を促すことが多いです。
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