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HOME > コラム > 最近の事件から~傷害致死と殺人の故意
愛媛県警は、市営住宅の押入れから少女の遺体が発見された事件で、同居していた未成年者ら計8名を傷害致死罪の容疑で逮捕しました。被疑事実は、8月13日から14日にかけて、被害少女に対して因縁をつけ、断続的に殴る蹴るの暴行を繰り返し、それにより14日夕方に死亡させたというものです。
被害少女は、逮捕された者たちと同居しており、何かと因縁をつけられ、事件時には使用人同然の扱いを受けていたと報道されています。また、事件前に何度も暴行を受ける姿が目撃されていたようです。
今回は、この事件に関連して「故意」という概念について考えてみたいと思います。
「故意」は、「罪を犯す意思」として規定されています(刑法38条1項)。
「故意」とは、犯罪事実を認識し、認容することなどと説明されます。
「犯罪事実」とは、刑法に記載されている、どのような行為が犯罪となるのかという部分(構成要件)に該当する事実のことをいい、「認容」とは、そうなってもかまわないという心理的な意思をいいます。
愛媛の事件で被害少女が死亡しているにもかかわらず、殺人罪ではなく傷害致死罪で逮捕されたのはなぜなのでしょうか。ここに「故意」の立証の難しさがあります。
先ほど述べたように、「故意」は「罪を犯す意思」です。「意思」ですから、行為者の内心の問題であり、目に見えません。そのため、もし犯人が自白しなければ、客観的な証拠や目撃者の証言などで立証していかなければなりません。
愛媛の事件の場合、、死亡に至るまで長時間にわたる暴行が継続していたとしても、暴行がどのような態様のものであったか、暴行の程度、回数などは、取調べが進んでからでないとわかりません。
そのため、捜査の初期段階では、容疑として固そうな軽い罪名で逮捕し、その後の捜査でさらに重い罪名に変化することはよくあります。
本件では、おそらく被害者が亡くなられているのは確実だけれども、わざと殺したのか、暴行を加えているうちに亡くなってしまったのか、その点が、あいまいだったのでしょう。被害者にとってはいたたまれない話ですが、捜査の初期段階ではやむを得ないところです。
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