クレプトマニアとは

HOME > コラム > クレプトマニアとは

 クレプトマニアという言葉をご存じでしょうか。
 病的窃盗とも言われ,物を盗みたいという衝動を抑えることができずに,窃盗,特に万引きを繰り返してしまうという症状のことを言います。
 アメリカの精神医学界が公表している精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSC-Ⅴ)やWHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)でも「窃盗症」「病的窃盗」などと記載され精神疾患の一つとして捉えられています。

 その特徴は,経済的な意味で物自体が欲しいわけでもないのに,衝動や欲求が抑えられず,同じことを繰り返してしまうことが挙げられます。また,万引きをしているときに,高揚感,満足感,解放感を得ることがありますが,反面,行為後に極度の罪悪感,不安感を感じてしまう点があります。
 また,他の精神疾患を併発している例が多く,特に,摂食障害や抑うつ傾向がみられることが多いです。性別では,女性が圧倒的に多いとされています。
性格的には,本来,人に迷惑をかけるようなタイプの人物ではなく,真面目で実直だが家族関係に問題を抱えているというのが典型例です。

 クレプトマニアの症例では,犯行を繰り返しているという理由で,重罰を科すことはナンセンスです。まずは,摂食障害やうつ症状などの治療を優先することが重要です。精神疾患を治療することで,自然と窃盗行為が治まるという傾向があります。

 そもそも,刑罰は,その威嚇効果により犯罪を思いとどまらせたり,刑事施設に収容することで犯罪者を改悛させるという効果が期待されています。
 しかし,クレプトマニアの場合は,保釈中や執行猶予中に再犯を犯すなど,刑罰の威嚇効果が全く機能しないことが多いです。また,出所直後に再犯を犯してしまうこともあり,刑務所で改悛するということも期待できません。

 そのため,必要なのは「刑罰」ではなく「治療」であるということができます。
 刑事手続の中でも,被害者に対する被害弁償や示談はもちろんする必要がありますが,ご本人にとっては,一刻も早く治療を施し,それを捜査機関や裁判所にアピールすることで,刑事施設への収容を回避する努力をする必要があります。

平成28年10月17日(月)

このページのトップへ

弁護士宮本大祐コラム

対応エリア

愛知県全域

名古屋市・半田市・東海市・ 知多市・大府市・常滑市・ 一宮市・岡崎市等

地図・アクセスはこちら

愛知県全域地図

新着記事一覧過去の履歴

アイコン罪名別のご案内罪名別の詳細や弁護方針についてご案内しております。 詳細については下記をクリックしてご覧ください。

ご相談・お問合せはこちらへ 052-684-7895

このページのトップへ