「保護観察所の専門的処遇プログラム」

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 保護観察とは,犯罪者を施設に収容するのではなく,社会内において,保護観察官,保護司の指導監督の下,遵守事項などを遵守させて,更生を目指す制度です。
 執行猶予付きの有罪判決を受けた際や,少年事件における保護処分として,また,刑務所を仮釈放された場合にも保護観察に付されることがあります。

 保護観察では,犯罪の種類に応じて専門的な処遇プログラムが実施されています。
 例えば,覚せい剤などの薬物事犯では,薬物処遇プログラムが実施されます。原則として2週間に1回,保護観察所に出頭させ,保護観察官が指導教育します。ワークブックを利用して,薬物依存について学び,再び薬物を使用しないように教育がなされます。また,尿検査又は唾液検査など,簡易薬物検出検査が毎回行われます。

 強姦や強制わいせつなどの性犯罪の場合,性犯罪者処遇プログラムが実施されています。
 おおむね2週間に1課程ずつ全5回に亘り実施されます。性犯罪のプロセス,認知の歪み,自己管理と対人関係スキル,被害者への共感,再発防止計画などについて学びます。また,家族に対しても,本人の更生を支援するために必要な知識を理解させたり,加害者家族の支援などのサポートがなされます。

 暴行,傷害罪については,暴力防止プログラムが実施されています。
 暴力防止ワークブックを使用して,自己の暴力について分析し,怒りや暴力に繋がりやすい考え方を学びます。また,危機場面での対処方法を習得する,対人関係のスキルを学ぶ,再発防止計画を立てるという課題もあります。

 飲酒運転防止プログラムも,ワークブックを使用して,アルコールに対する知識を学んだり,自己の飲酒状況について理解したり,再犯を犯さないように対処方法を学びます。

 このように,保護観察所では,犯罪者が再犯を防止するために,様々なプログラムが組まれています。
 再犯を防ぐためには,犯罪者を長期間刑務所に収容するのではなく,保護観察所で実施されているような再犯防止のためのプログラムを受講させることが重要です。
                                                                  平成28年8月19日

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弁護士宮本大祐コラム

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