電車内の痴漢について、性依存症の治療機関に通所するなどした事案

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 依頼者は、同種の前科があり、衝動的に犯行に及んでいたことから、今後も再犯の恐れが否定できない状況でした。
 ご本人は、うつ症状を呈するほど、深く反省しているのですが、常習的に性加害行為を実行している場合、どんなに反省していても、衝動をおさえられなくなってしまうことがあります。そのため、本件では、性嗜好障害(性依存症)の治療のため、民間の治療機関に通所していただくことになりました。

 依存症とは、一般に反復性・衝動性・強迫性・貪欲性・有害性・自我親和性(好んでその行為を行っていること)・行動のエスカレーション(コントロール喪失)という7つの特徴を兼ね備えているものです。また、行為中の高揚感・自己喪失・生活時間の一時停止・行為後の後悔・行為中断後の行為再開への渇望という特徴も兼ね備えているのが特徴です(A.ギデンズ著『親密性の変容』より)。
 そして、性的逸脱行動を反復する人は、行為後に深い後悔の念や反省の意を示していながらも、行為をやめるどころか、繰り返してしまい、さらにエスカレートさせてしまいます。このような点から、性依存症とは病気と考えられており、それは自己反省や刑罰だけでは再発防止を図ることが難しいために、治療が必要とされています。
 この点については、精神疾患の代表的な診断基準として挙げられるWHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)や、アメリカの精神医学界が出している精神障害の診断と統計の手引き第5版(DSM-V)において、性依存症をパラフィリア障害群として、治療を必要とすべき病気として捉えていることからもわかります。後者によると性嗜好障害として代表的なものは、窃触症(痴漢)・窃視症(のぞき・盗撮)・露出症・小児性愛の4つです。
 
 判決は、執行猶予付きの有罪判決でしたが、今後の再犯を防ぐ手立てを取らなければ、執行猶予中に再犯をしてしまう可能性があります。このような場合、裁判のためというよりは、今後のために,「治療」をお勧めすることがあります。

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弁護士宮本大祐コラム

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