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HOME > コラム > 賄賂の罪~美濃加茂市長の初公判~
最年少市長として注目された岐阜県美濃加茂市の市長が、浄水設備の導入に関して名古屋市の業者から現金を受け取ったとして収賄の容疑で逮捕、起訴された事件の初公判が行われました。
法廷で市長は現金の受け渡しは無かったとして、自らの無罪を主張しました。
政治に関するカネにまつわる問題は、多くの政界スキャンダルや疑惑を生み、国民の政治に対する不信を招いてきました。今回は美濃加茂市長の事件で問われている賄賂の罪について考えてみたいと思います。
刑法が賄賂の罪を規定して保護しようとした利益はなんでしょうか?
それは、公務員の職務に対する国民の信頼です。
立法、司法、行政などの国家権力がきちんと運用されるためには、それに関わる者が公正でなくてはなりません。また、公務は社会(国民)の信頼が基礎になければきちんとした運用はできません。ですから、賄賂の罪は政治家だけでなく、広く公務員をその対象としています。
通常、賄賂が問題となる場面では、賄賂を渡す側と賄賂をもらう側がいます。どちらか一方だけを処罰しても、職務の公正と社会の信頼は保護できませんので、刑法は両方とも処罰の対象としています。
賄賂を渡す側を贈賄罪として、また、もらう側を収賄罪として処罰対象としています。
収賄罪は、職務に関して賄賂を受け取るという単純収賄罪を基本として、様々な要件により成立する犯罪が変化するという形をとります。ちなみに、賄賂を受け取るだけでなく、要求したり、約束(賄賂の受け渡しについて合意)したりするだけでも成立します。
一定の職務行為をしてくれと頼まれて(請託)賄賂を受け取った場合、受託収賄罪という犯罪が成立します。
浄水設備導入をよろしくお願いしますと言って渡されたお金を受け取った場合に成立しうることになります。
公務員になろうとしている者が請託を受けて賄賂を受け取った場合、事前収賄罪が成立します。なお、将来担当する職務に関しての請託を受け、公務員になることが必要です。
市長に立候補しようとしている者に対して、市長になった際には浄水設備導入をよろしくお願いしますなどと言って賄賂を受け取る場合がこれに当たります。
美濃加茂市長は賄賂とされる現金の受け取りそのものを否定しており、今後裁判がどのように進展するのか注目です。
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