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覚せい剤なんて自分には関係ない、多くの一般市民にとっては正解かもしれません。
しかし、犯罪者の世界、とりわけ薬物関係の犯罪の中では、覚せい剤に関する犯罪が飛び抜けて多いです。
その理由の一つに、覚せい剤の常習性があります。本人がどんなに止めようと思っても、覚せい剤に犯された体が薬を欲しがってしまい、どうにも止められなくなってしまうのです。これは一種の病気と言うほかありません。
法廷でも被告人が「もう絶対にやりません」と涙ながらに訴えることがあります。
おそらく、本人は、嘘を付いているつもりはないのだろうし、たぶん、本当に止めたいと思っているのだと思います。しかし、止められない。
そのような被告人を刑務所に入れるだけでは何の解決にもなりません。刑務所から出ても「病気」が治っていないため、また再犯を繰り返してしまいます。覚せい剤事犯の再犯率は非常に高いです。
また、日本の刑務所では、薬物依存離脱指導というプログラムがありますが、実施率が決して高くないことや、スタッフの人員不足といった問題があり、出所後の再犯率の高さからすると十分な効果が上がっているのか疑問です。
ここで治療的司法という考え方があります。
刑罰ではなく、犯罪者自身の問題を解決すること=「治療」が再犯防止や更生につながるという考え方です。
例えば、アメリカではドラッグコートと言って、薬物関連犯罪の被告人を通常の刑事司法手続きではなく、薬物依存から回復させるための治療的な手続きにより、その手続の全てを修了した被告人には罰を科さないという裁判制度があります。
刑務所の中でプログラムをこなすというのではなく、裁判官の監督の下で治療プログラムが実施されるという点に特徴があります。
これだと、被告人にとっても、プログラムを頑張れば罰を科されないで済むし、治療にもつながるから再犯の防止にもなります。
このような制度が日本に導入されれば、すばらしいことと思います。しかし、まだまだ社会的な受け皿が不足しているという指摘もあって、実現には、まだ、いくつもハードルを越えなくてはなりません。
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