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犯罪を犯して裁判にかけられ判決が言い渡されると控訴しない限り2週間後に刑が確定します。懲役刑に処せられた場合には,執行猶予が付かない限り刑務所に入ることになります。しかし,懲役刑に処せられても「改悛の状があるとき」は,仮釈放といって,刑期満了前に身柄が解放されることがあります。
被告人は,刑事裁判では処断刑が軽くなるように情状などを主張しますが,刑が確定して刑務所に入ってからは,この仮釈放を目指して努力することになります。
それでは,どのような場合に仮釈放が認められるのでしょうか。
刑法(仮釈放)
第二十八条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,有期刑についてはその刑期の三分の一を,無期刑については十年を経過した後,行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
法令上は,受刑者に「改悛の状があるとき」,有期刑の場合は刑期の3分の1,無期刑の場合は10年を経過した場合に仮釈放することができると書いてあります。
しかし,実際には,刑期の3分の1程度で仮釈放されるケースはほとんどありません。刑期の8割から9割程度執行を終えてからでないと仮釈放されないケースが多いです。7割から8割でも認められるケースはありますが,仮釈放者の4分の1程度しかいません。7割未満となると2%程度です。
また,無期刑の場合は,25年以上経過しないと認められないことがほとんどであり,獄死する人も多く,ハードルは高くなっています。世間一般で言われるほど,簡単には出られないということです。
また,仮釈放者と満期釈放者の割合は,半々くらいです。
仮釈放許可の基準は,「仮釈放,仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」に規定されています。
すなわち,本人の資質,生活歴,矯正施設内における生活状況,将来の生活計画,帰住後の環境等,悔悟の情が認められること,更生の意欲が認められること,再犯のおそれがないと認められること,社会の感情が仮釈放を是認すると認められることなどを総合的に考慮することが求められます。
(仮釈放等の決定)
第31条 仮釈放,仮出場及び仮退院の決定に当たっては,本人の資質,生活歴,矯正施設内における生活状況,将来の生活計画,帰住後の環境等を総合的に考慮しなければならない。
2 仮釈放,仮出場又は仮退院を許すときは,本人の社会復帰のため最も適当と認められる時期を考慮しなければならない。
(仮釈放許可の基準)
第32条 仮釈放は,次に掲げる事由を総合的に判断し,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。
(1) 悔悟の情が認められること。
(2) 更生の意欲が認められること。
(3) 再犯のおそれがないと認められること。
(4) 社会の感情が仮釈放を是認すると認められること。
仮釈放を申請することができるのは,矯正施設の長(刑務所長など)であり,受刑者本人には申立権はありません。刑務所長が地方更生保護委員会に申請して審査が行われることになります。
このように,いったん刑期が決まった後は,仮釈放という制度がありますが,真面目に受刑生活を送っていれば出られるという甘いものではありません。
弁護士が受刑者の代理人となるケースは少ないですが,活動をするとすれば,上記のような仮釈放の条件を整えてから刑務所長を促し,地方更生保護委員会に情報提供することなどが考えられます。
平成28年12月6日(火)
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