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検察官が裁判所に,事件について審判を求める意思表示をすることを起訴といいます。
日本では,起訴をする権限は,検察官がほぼ独占しています。
また,起訴便宜主義といって,検察官は,事件を必ず起訴しなければならないわけではなく,諸条件によっては,起訴しない処分,つまり不起訴処分とすることができます。
では,どのような場合に不起訴処分となるのでしょうか。
主に,次の3つがあります。
1 嫌疑なし
被疑事実について,被疑者が犯人でないことが明らかな場合や,犯罪を認定するだけの証拠がないことが明らかな場合です。
例えば,明らかなアリバイが認められた場合や,遺体が発見されたが自殺か他殺か不明であるような場合です。
2 嫌疑不十分
被疑事実について,被疑者が犯人であることや,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分な場合の処分です。
犯罪がないことが明らかとまではいえないが,これを裁判で立証するのに証拠が不十分である場合などです。
3 起訴猶予
犯人や犯罪があったことについては,明らかな場合で,被疑者の性格,年齢,境遇,犯罪の軽重,叙情,犯行後の状況により,起訴するまでもないと判断された場合の処分です。
起訴猶予にすべきか否かについては,犯人の社会復帰を容易にするかどうか,社会秩序の維持を図れるか,といった観点から判断されます。起訴猶予は,犯罪があったことについては明らかなわけですから,検察官は,お説教をしたり,更生のための誓約書を書かせたり,保護監督者の身柄請書などと作成したりします。
盗撮や軽微な痴漢で示談が成立して不起訴となる場合,この起訴猶予となることが多いです。
平成28年11月14日(月)
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