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みなさんは犬を飼っていますか?ペットの犬は、嬉しいときも悲しいときも一緒に過ごす家族のような存在だと思います。
世の中には、飼い主とペットという関係を超えて、パートナーとして支え合うという関係を築いている方もいます。今回は、大切なパートナーを傷つけられた事件を取り上げることで、法律上の動物の扱いについて考えたいと思います。
先月、ある全盲男性が連れていた盲導犬が、通勤途中の電車内で傷つけられるという事件が起きました。盲導犬はむやみに吠えないよう訓練を受けているため、職場の同僚に言われるまで男性は気が付かなかったそうです。傷の形状からフォーク状の物で刺されたようで、警察は器物損壊罪の疑いで捜査中であると報道されています。では、器物損壊罪とはどのような罪なのでしょうか。
器物損壊罪とは、「他人の物を損壊し、又は傷害した者」を罰する罪だと定められています(刑法261条)。ここでいう「損壊」と「傷害」とは、どのような行為を指すのでしょうか。
「損壊」とは、物質的に器物の形体を変更・滅失させる場合だけでなく、事実上もしくは感情上、物の本来の効用を害することをいいます。
「傷害」とは、動物を物理的に殺傷したり、動物としての本来の効用を害することをいいます。
今回のケースは後者が適用されることになるでしょう。
注意しなければならないのは、器物損壊罪は「親告罪」であるという点にあります。
「親告罪」とは、告訴がなければ公訴提起することができない犯罪のことをいい、今回のケースでいえば、盲導犬を連れていた男性の告訴が必要であるということを意味します。
ここまで読んでいただいた方の中には、家族同然の愛犬が傷つけられても「器物」損壊罪となる、つまりは、物として扱われる点について憤りを感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、現在の刑法においては、犬をはじめとするペットは生き物でありながら、物(飼い主の財産)として扱われることとなります。
なお、刑法とは別に、一定の動物に関していわゆる動物愛護法が制定されており、動物を虐待したり遺棄したような場合に、処罰されることもあります。
幸いにも、盲導犬の傷は浅く軽傷であったようです。しかし、飼い主の男性が味わった悔しさや悲しさは計り知れません。このような心ない事件を聞くと本当に悲しい気持ちになります。
弁護士としてできることに限界はありますが、このような心ない事件に遭われた被害者の方からのご相談もお受けしております。刑事事件に精力的に取り組むかもめ法律事務所の弁護士まで是非ご相談ください。
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