傷害の被害者転じて恐喝の加害者へ

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一般の方からの刑事事件に関する投稿です。

 

 

中学まではケンカの中心にはいつも「彼」がいたのですが、高校に入ると人が変わったように勉強し、なんと生徒会長として卒業生代表のスピーチをするまでになりました。卒業後建設現場の道に進み、齢の割には良い給料をもらっていたようです。

師走で仕事が一段落したらしく学生時代の仲間を誘って飲みに行ったときトラブルは起きました。勘定をしに席を立っている間に元同級生と隣の席が揉めて、すぐに裏路地に場所を移動したわけです。

 

1対5、勝負はすぐに決まり精算を終えて探しに来た彼は「もう勘弁してやってよ」と声を掛けます。ところが相手は肩を掴まれたことに激昂し5人で彼を袋叩きにしてしまったのです。全治三か月、顔面・腕・鎖骨・肋骨が折れていた重傷です。

3ヶ月の欠勤でもちろん会社はクビ。退院するころには犯人捜しを始めました。近隣市町村も含めると250万人もいるのに5人組の犯人を見つけることができたのです。彼等は暴力の解決を望まず、学生課を訪ね5人組の写真を確認しにいきました。結果として事件が発覚し大学生は退学、部活は休部となったのです。ところがその席で治療費などを要求したことが恐喝になると揉める原因となります。

大学生が一方的に暴力を振るったので、先に民事を解決してから刑事事件として更に訴える、普通とは逆パターンを想定していたのです。ところが刑事事件として恐喝を受けたと主張する大学生と、民事事件として傷害を受けたと主張する「彼」との、逆転した不思議な構図が生まれてしまったのです。

結果的には双方に弁護士が選任され、示談で解決が図られました。「彼」が暴行を受けた時の診断書が残っていたことからほぼ全面的に大学生が負けで決着が図られることになりました。ところが大学生が示談内容に納得せず結果として訴訟となり、判決前に和解が成立し当初の示談と遜色ない結果となりましたが、ただその時に被害届を出さないことも条件となったため、結果として大学生の暴行が事件化することはありませんでした。

 

<弁護士のコメント>

傷害事件の被害者であれば、刑事告訴をすることもできますし、加害者に対し、民事上、損害賠償請求をすることもできます。しかし、被害に腹を立てて、不当な手段で、慰謝料を請求したような場合は、逆に、恐喝罪で告訴されてしまいかねません。

傷害事件については、被害者ですので、慰謝料を請求する権利はあります。しかし、請求の仕方が社会的相当性を逸脱しているような場合は、恐喝になってしまうのです。

どの程度であれば、恐喝にならないのか、判断が難しいこともあります。平たく言えば、常識の範囲でということになりますが、腹を立てている場合は、冷静に判断することも難しいので、弁護士に相談されると良いでしょう。

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弁護士宮本大祐コラム

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