威力業務妨害・偽計業務妨害~練馬区HPへの書き込み事件から

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東京都練馬区は、区のホームページ上に、小中学校の運動会の開催を妨害する内容の書き込みがあったと発表しました。学校が運動会を開催した場合には、学校に爆弾を仕掛けたり児童を誘拐したりするという内容だったため、区は学校の運動会を中止したそうです。

 

警察は威力業務妨害罪の容疑で調べています。

 

ところで、運動会を中止させたことが業務の妨害に当たるというのは、どういうことなのでしょうか。普通、「業務」というと、会社が経営や営業に関して行う事務のような、「仕事」のようなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、業務妨害罪における「業務」とは、人や会社などの団体が社会で生活をしていくうえで、反復・継続して従事することを必要とする事務のことをいうとされます。

そのため、経済的な活動のみならず、運動会や展覧会等の文化的な活動も「業務」といえます。「仕事」のように報酬が発生するような事務でなくとも、運動会のような学校の行事でも「業務」に当たることがあるのです。

 

また、業務妨害罪には、威力業務妨害と偽計業務妨害があります。

 

「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいうとされます。

判例では、競馬場に釘をまき散らし、混乱に陥れた場合、弁護士の業務用カバンを奪取して隠匿した場合などに成立しています。

 

「偽計」とは、人を欺き・誘惑し、または他人の無知、錯誤を利用することをいいます。

判例では、中華そば屋に970回も無言電話をかけた場合、デパート売り場の布団に16回にわたり469本の釘を入れた場合、などに成立しています。

 

「威力」と「偽計」の区別は案外、微妙です。

判例では、犯行が隠密に行われたか、公然と行われたかで区別しているようにみえます。

 

この点、練馬区のホームページは、公然であることは明白ですから、影響も大きく、「威力」となるのでしょうね。

 

仕事のじゃまをされた場合に、すぐ「業務妨害だ!」などと言う人がいますが、本当に妨害されたといえるのか、判例をチェックしながら、犯罪にあたるのかどうか検討する必要がありますね。心当たりのある方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

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弁護士宮本大祐コラム

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