検視官というお仕事

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 臨場(劇場版)という映画を観ました。
検視官という珍しい仕事をしている人が主人公になるという映画です。

 刑事訴訟法229条では、変死者や変死の疑いのある死体があるときに検視をするとされています。検視をする人は、特殊な訓練を受けた警察官であることが多いです。

 検視の後、犯罪性のある死体に対し、一定の場合には、司法解剖が行われます。これは、法医学者により執行されますが、司法解剖が行われるケースはあまり多くはありません。地域によりデータは異なりますが、警察が取り扱う死体の内、概ね3~5%と言われています。

 私も司法修習生の頃、現役の検視官から、検視講習なるものを受講した覚えがあります。

スライドで、様々な変死体を見せられて、検視官が淡々と解説をしていくというものでした。たとえば、水死体だと、通常、口から泡が出るが、殺されてから沈められると泡が出ないとか、焼死体の場合は、体の半分が焼けると死ぬが、焼けていない場合は一酸化炭素中毒だとか、絞殺死体の場合、まぶたの裏や唇の裏に溢血点なる斑点が出るが、完全に首が絞まった場合は出ないとか……。

 聞いているだけで気分が悪くなりますね。スライド観ながらだとさらに気分が悪くなります(笑)

 しかし、なぜか、検視官の目はランランと輝いていたような……。さすが、プロフェッショナル。

 修習生の中には、希望して死体解剖を見学させてもらった人もいます。以前は、皆が見学していたそうですが、現在は、修習生の数が増えすぎて一部の人しか、見学できません。私は、残念ながら(幸運にも)機会に恵まれませんでした。

 映画は、死亡推定時刻とアリバイの関係が争点となり、事件が意外な結末を迎えるというストーリーでした。映画にあるとおり、実際の検視の現場でも、直腸で体温を測定するらしく、一時間に1℃ずつ体温が低下していくのだそうです。ちなみに、体温が高いままだと覚せい剤を使用している可能性や、脳に損傷を負っている可能性があります。

映画では、直腸にちょっとした細工?をすることで、体温測定を狂わせようとしていましたね(ネタバレ)。

 刑事事件では、普通の生活をしていたのでは、到底想像すらできない世界や仕事に触れることも多いです。検視という仕事も、その一つですが、この映画は、そんな珍しい世界に光を当てた作品でした。あまり係わりたくない世界でもありますが。

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弁護士宮本大祐コラム

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