高畑裕太容疑者と強姦致傷罪

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女優高畑淳子さんの長男高畑裕太氏が強姦致傷の容疑で逮捕されました。
事件の状況についてはまだ詳しいことはわかっていませんが、今回は、強姦致傷罪という犯罪について解説します。

まず、強姦罪は、暴行又は脅迫を用いて、女性を姦淫した場合に成立します。
そして、強姦の際に、被害者に怪我をさせた場合に強姦致傷罪となります。
刑法第181条に規定されています。

(強制わいせつ等致死傷)
第181条 第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 第177条若しくは第178条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は5年以上の懲役に処する。
(強姦)
第177条 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

規定されているように、強姦が未遂に終わっても、怪我をさせていれば強姦致傷罪としては既遂という扱いになります。そのため、高畑容疑者の場合も、強姦自体は完遂していない可能性もあります。

刑罰としては、無期又は5年以上の懲役とされています。5年以上というのは、5年以上20年以下という意味です。行為態様の悪質性や結果の重大性、示談の有無などによって量刑が決まってきます。過去の例をみると概ね懲役5年から8年程度の実刑が予想されます。
さらに本罪は裁判員裁判対象事件となっていますので、3人の裁判官と6人の裁判員によって裁かれます。裁判員裁判が始まって以来、性犯罪は厳罰化の傾向がありますので、想定より重くなることもあり得ます。
ただし、怪我の程度が軽ければ、起訴の段階で致傷が外され、強姦罪として審理される可能性もあります。その場合、裁判員裁判ではなく、通常の裁判となります。その場合、親告罪といって、被害者の告訴がないと起訴ができません。

強姦罪は、魂の殺人と言われるくらい、被害者に深刻なダメージを与えます。一生消えることのない心の傷を残すこともあります。
そのため加害者が刑罰を受けることは当然ではありますが、被害者感情に流されて徒に厳罰化することは好ましくありません。加害者の更生を妨げ、かえって新たな被害者を生むことにもなりかねません。
加害者本人が、刑罰を受けるだけでなく、被害感情に少しでも近づく努力をし、事件について裁判で正直に説明し、犯行について分析し、場合によっては、刑務所内で性犯罪者向けの更生プログラムを受講するなど再発防止に努めることが重要だと思います。
                                   平成28年8月26日(金)

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弁護士宮本大祐コラム

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