非現住建造物放火~自己所有の場合

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一般の方からの体験談です。

 

小生は税理士を業として活動しております。この仕事における関与先様がいろいろなトラブルが重なって、最終的に自社ビルに火をつけて放火の罪で逮捕起訴されたと言う話です。

その社長さんは中古機械の販売を行っています。取り扱う機械はピンからキリ間でありますが、ピンの機械になると中古品仕入れ値で数千万を越えることもあります。こういった商品を取り扱う場合はブローカーみたいな仕事をするのが普通(買い手を先に見つけておく)なのですが、その買い手が仕入をした直後いなくなってしまったのです。契約書も交わしたのに、相手がいなくなってはどうしようもありません。程なくして先代が亡くなります。それに気落ちした御母様が痴呆を発症します。それに疲れた社長の奥様が実家に子供を連れて帰ってしまいました。家庭がバラバラになり、会社の資金繰りがまわらなくなり社長の頭がパニックになったのだと思います。その社長は深夜3時頃会社にガソリンをばらまいて燃やしてしまいました。放火です。

私は、始めにその会社が燃えたということは連絡が入ったのですが、社長が火をつけたとは想像つかず、事件の翌日奥様からあわてた声で、主人が捕まったどうしたらよいか判らない、と言う連絡をもらいました。職業柄弁護士の知り合いがいるので事の経緯を話して取りあえず面会に行ってもらいました。また介護関係の知り合いもいるので御母様のことについてどうすれば良いか相談なさって下さいと社長の奥様に助言をしました。

事件は怪我人が出なかったこと、オーナー会社の建物を燃やしたと言う事で、実質自傷行為であること等を鑑みて執行猶予付き判決になって刑務所には行きませんでしたが、法人役員にはなれない身分なので、奥様が会社を建て直して以前より利益が出るようになったという事件でした。10年以上のお客様で、放火をするような人柄ではないのですが、人間はキャパシティーを越える現象に見まわれると想像もつかないことをしてしまうものだと実感した事件でした。

 

<弁護士コメント>

会社の建物につき、居住用に使用されていなかった場合には、非現住建造物等放火罪(刑法109条)の成立が考えられます。同罪にあたる場合、燃やしてしまった建物が自己所有であれば、刑が軽くなります。

第百九条  放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。

 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

 

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弁護士宮本大祐コラム

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