接見室からの逃走

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 大阪府の富田林署から、強制性交未遂容疑で勾留されていた被疑者が、弁護人との接見後に、逃走したというニュースがありました。

 報道によると、接見室の弁護人と被疑者と隔てているアクリル板が押し破られ、逃走したとのこと。金属製の縁との間に10㎝程度の隙間ができていたということなので、この隙間を押し広げて逃げたということなのでしょう。接見室の扉(弁護人が出入りする側)には、開くとブザーが鳴る装置が設置されていたようですが、電池を入れておらず作動しなかったようです。接見終了時に弁護人が声をかけるから不要と判断していたのだとか。接見室の隣の部屋に置いてあった署員のスニーカーがなくなっていたことから、この靴を盗んで逃走したものと思われます。

 一般の方が接見室を見る機会はあまりないと思いますが、よくドラマとかで出てくるアレですね。弁護人と被疑者は、あの狭い部屋でアクリル板越しに話をするわけです。
 弁護士は、捜査機関の立ち会いなしに被疑者と面会することができます。署員の立ち会いはないため、接見室で話した内容が捜査機関側に伝わることはないとされています。面会する時間にも制限もありません。

 凶暴な被疑者だと、弁護人に対し怒りを露わにし、アクリル板をドンドン叩いて威嚇するなどという話を聞いたことがあります。幸い私が弁護した被疑者にそのような人はいませんでしたが、アクリル板は、もしものために相当頑丈に作られています。なので、思い切り叩いたり蹴ったりしても、通常は,壊れることは考えられません。
 ブザーがならないように電池を外してあったことを責められているようですが、そもそも、壊すことができるのだろうか、というのが率直な感想です。壊すとしても、大きな音が出てしまうと思います。建て付けが古くてガタがきていたのかもしれませんね。

 また、弁護人が立ち去った後もしばらく放置されていたというのも気になります。
 私の知っている留置施設は、弁護人が接見室から出る扉は、普通に開けられるのですが、留置施設に入る扉は、内側からも錠を差さないと開かない鍵がかけてあり、係の人を呼ばないと外に出られない仕組みになっています。そのため、弁護人が、何も言わずに立ち去ることができたという点も腑に落ちません。

 いずれにせよ、富田林署の留置管理の失態であることは間違いありません。
 その後、日本一周の旅行者に変装して逃亡していたというオチは、笑えないですね。
 旅行者が変な目で警戒されてしまいますね。実際過去にも、離島のキャンプ場で潜伏しているところを逃亡中の被疑者が逮捕されたなんてこともありました。大半の旅行者は真面目な人かと思いますのでいい迷惑ですね。
                                         以 上
平成30年11月15日(木)

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弁護士宮本大祐コラム

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