強姦神話とは

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 強姦事件は,魂の殺人と呼ばれるくらい,被害者の心身に深刻なダメージを与え,人格や尊厳を蹂躙する極めて悪質な犯罪です。 
 しかし,犯罪の実情が世間には理解されず,あたかも被害者にも非があるかのような意見が報道されることがあります。例えば,「挑発的な服装をしていたのが悪い」「若い女性が深夜一人歩きしていたのが悪い」「水商売をしているから乱暴されても仕方ない」などの偏見があります。
 このような強姦についての根拠のない思い込みのことを「強姦神話」と言ったりします。例えば次のようなものがあります。

①強姦は被害者と面識のない加害者により行われる=面識のある相手からの性行為は強姦ではない。
②強姦の加害者は異常性格者または倫理観に著しく欠ける者である=普通の人による性行為は強姦ではない
③強姦は暗い夜道や公園で行われる=家の中やホテルでの性行為は強姦ではない
④強姦は無理矢理連れて行かれた場所で行われる=同意して行った場所での性行為は強姦ではない
⑤被害者は貞操を守るために性行為を拒む=性行為を拒まない女性は貞操観念がなく同意しているから強姦ではない
⑥貞操観念がある女性は,性行為や性的言動について慎重である=性行為や性的言動について慎重でない女性は貞操観念がなくすぐに同意するから,そのような女性との性行為は強姦ではない
⑦女性は(貞操を守るために)生命・身体の危険を冒しても最後まで抵抗を図るものであり,そのような抵抗を抑圧して行われるのが強姦である。女性が抵抗しなくなるのは,性行為を受け入れ体が喜んでいるからである=被害者が生命・身体の危険を冒して最後まで抵抗をしなければ同意であり強姦ではない
⑧加害者の動機は性欲であり,被害者の挑発的な服装などが強姦を誘発する=性欲が満たされていれば強姦ではないし,被害者に誘発の責任がある。
(「性暴力被害の実態と刑事裁判」参照,日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会編,信山社)

 長々と引用しましたが,上記①~⑧の強姦神話は,すべて過った偏見に基づくものであり,このような経験則はありません。
 しかし,司法や捜査関係者の中にも,上記の過った偏見を持っている人がおり,実際に判決に採用されたりすることがあります。
 被害者側の代理人に就任した際に,上記のような偏見と闘っていかなければならないことは言うまでもありませんが,加害者側の弁護士としても,被害者の非(ではありませんが)をあげつらうことで,加害者の刑が軽くなることは通常ありませんので,そのような攻撃方法は避けるべきでしょう。あくまでも,加害者の行為態様や情状を主張することで弁護すべきです。

平成28年12月21日(水)

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弁護士宮本大祐コラム

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