司法取引について

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 アメリカの映画で,司法取引により刑が軽くなったというような話が出てくることがありますね。
 司法取引には,アメリカなどで実施されている,自白することで刑が軽くなるというようなタイプ(自己負罪型)と,他人の犯罪事実の捜査に協力することで自らの刑を軽くしようとするタイプ(捜査公判協力型)があります。

 日本で導入されようとしているのは,後者の捜査公判協力型と言われているものです。
 共犯者などの他人の犯罪について,取調べや公判の尋問で真実を述べたりすることと引き替えに,自らの犯罪について不起訴処分や略式命令が約束されるなど,有利な処分となるというものです。
 対象となる犯罪は,薬物犯罪,銃器犯罪,経済犯罪などに限定されています。殺人罪や強姦罪等の生命・身体犯は除外されています。

 メリットとしては,犯罪の捜査に役立つ情報を得ることができるということや,捜査や裁判にかかる時間と労力を節約できるというメリットがあります。

 問題点とされているのが,他人の犯罪について虚偽の事実をでっち上げて,自分の刑を軽くしようとする恐れがあるという点です。えん罪の温床になりやすいとも言われています。これを防ぐために,供述者だけでなく弁護人が連署して合意書面を作成するなど,手続上,本人だけでなく弁護人が関与しなければならないとされています。また,虚偽供述等の罪が新設され,虚偽供述をした場合には,逆に,虚偽供述罪で5年以下の懲役に処せられます。

 このような司法取引(捜査公判協力型協議合意制度)が,平成30年6月までに施行されることになっています。
 この制度は,捜査機関側に有利な武器を与える制度となっていますので,弁護人としては,上記にあげたように,自分の刑を軽くするために他人を巻き込むことがないように注意しなければなりません。えん罪の発生に協力することがないように,安易にこの制度が利用されることがないよう,注視する必要があります。

平成28年11月29日(火)

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弁護士宮本大祐コラム

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